東日本大震災から5年 復興の遅れ課題に


東日本大震災と、東京電力福島第一原子力発電所の事故の発生から11日で5年となります。国の「集中復興期間」は今月で終了しますが、全国で17万人余りが依然として避難生活を余儀なくされ、東北などの被災地では、復興の遅れが大きな課題となっています。

5年前の平成23年3月11日、午後2時46分ごろ、東北沖でマグニチュード9.0の巨大地震が発生し、東北や関東の沿岸に高さ10メートルを超える津波が押し寄せました。巨大地震の震源域の周辺では、震災前に比べて地震の多い状態が今も続き、東北を中心に地盤が東向きにずれ動き、隆起や沈降する変動が続いています。
警察庁の10日までのまとめによりますと、これまでに死亡が確認された人は12の都道県の合わせて1万5894人、行方不明者は6つの県の合わせて2561人となっています。また、復興庁のまとめによりますと、避難生活による体調の悪化などで亡くなったいわゆる「震災関連死」は、10の都県で少なくとも合わせて3407人に上り、震災による犠牲者は、「関連死」を含めて2万1000人を超えています。
仮設住宅や賃貸住宅などで避難生活を余儀なくされている人は、先月12日現在の復興庁のまとめで、17万4000人余りとなっています。また、復興庁によりますと、自力で住宅を再建できない人のために建設される「災害公営住宅」は、2万9900戸余りの計画に対しことし1月末現在で完成しているのは1万4466戸と、48%にとどまっています。
一方、3基の原子炉でメルトダウンが起きるという、世界最悪レベルの事故が発生した福島第一原発では、廃炉に向けた最大の難関とされる溶け落ちた核燃料の取り出しに向けた調査が進められています。調査にはロボットが使われる計画ですが、現場周辺の除染など準備作業が難航していて、スケジュールは遅れています。どのように核燃料を取り出すかを決めるにあたって欠かせない調査だけに、いかに着実に進めていくか、現場の模索が続いています。
汚染水の問題では、建屋内に流れ込んでいる地下水の流れを遮るため、1号機から4号機の建屋の周囲の地盤を凍らせる「凍土壁」の建設工事がようやく終わり、早ければ今月中にも凍結が始まる見通しです。一方で、敷地内のタンクで保管されている汚染水の量は80万トン近くに上り、タンクの数は1000基を超えています。東京電力では、使用をやめる予定だった簡易型のタンクも使って汚染水の保管を続けていますが、最終的な処分方法について具体的なめどは立っていません。
国の「集中復興期間」は今月で終了しますが、東北などの被災地では、住宅の建設や防潮堤や道路の整備などが当初の計画より遅れるなど、復興の遅れが大きな課題となっています。